Arnold 5で障子越しの影のシーンを表現したい① シーン準備編

どうも! Maya太郎です。

最近の記事で
Arnold 5の新シェーダーを使って
バックライティング(薄い板から漏れる光や影)の
表現方法を紹介していましたが

以前から
薄いカーテンではなく障子越しのシルエットの…
「こんなシーンを作りたいなと、いや、簡単に作れるだろう」と思っていました。

結論から言うと、ちょっと面倒な作業になったので
分割連載になります。
もしかしたらシンプルなテクがあるのかもしれませんが
面倒な方法しか思いつきませんでした。


【ご注意】
現在一般的なMaya2017(update3まで)のインストールでは
Arnoldの最新版はインストールされていません。
(一世代前のArnold4.X版が同梱されています)

当記事に記載されているArnbold 5(MtoA2.0)をお使いいただくには
開発元のSoildAngle社から最新版を入手してインストールする必要があります。
今後のアップデートからは標準となるはずなので当ブログでは
一足先に記事の内容を最新版に移行しております。

記事内容の検証をされる場合は、お使いのMtoAのバージョンをご確認ください。

 


モデリングはプリミティブのみ

さくっと和室をモデリング(ふすまの取っ手以外BOXオブジェクト)

そとから覗きこむ猫太郎(猫太郎は使いまわし素材)

障子なので、薄いながらも透明ではありません。本来どちらからも見えることはありません。

イメージ通りの障子のシーンが準備できました。

ライトは太陽光に見立てたディレクショナルライト。
まずは昼のシーンに挑戦です。

今回厄介なのが障子紙の質感調整です。後回しにします。
障子紙(のオブジェクト)を非表示にして他の部分を調整。
影の状態や猫太郎の位置確認などテストレンダリングします。

背景が真っ黒なので違和感があります。
「おまけ」で背景を追加します。
本来は不要です。(最終的に背景部分は見えなくなるので)

Arnold 5から追加されたフラットシェーダーを適用します。

背景となる板は、他のライトの影の影響を受けないようにいくつかのチェックを外しておきましょう。
これはArnoldに限らず どのレンダラーでも共通です。

「板」背景のおかげで背景の不自然さは無くなりました。
ここでスカイドームライトなどを使わなかったのは
内観のCGの場合、シーン全域に影響するドームライトはレンダリングに負担がかかるから、です。
負担を気にしなければスカイドームライトを使用してもかまいません(お好みで)

白背景だと面白みが無いので背景写真を貼りつけることにします。

現状フラットシェーダーでは貼り込んだテクスチャーがビューポートに反映されません。
ビューポートでテクスチャーをプレビューするには
「追加のアトリビュート」のハードウェアカラーに同じテクスチャを接続します。
(この対処方法は非正規の方法です、できればそのままプレビューできるように改善していただきたいです。)

 

ライトの角度や強さなど、他の部分も軽く微調整しました。
このようなシーンになっています。

 

障子紙の無い状態です

 

障子紙の現状の設定は「Standard Surfaceシェーダー」で
デフォルト設定のSpecularをゼロにして艶消し状態にしただけの状態です。

 

このまま(非表示だった)障子紙を表示してレンダリングしても
通常のマテリアル設定では光を通さないのでまっくらになります。

 

障子紙の自己発光度を上げて光源にすることで部屋の中に光が届きますが
あくまでも障子からの発光であり
ディレクショナルライトの光が反映されたわけではありません。


障子の光を透過させるには…

 

過去記事でも紹介した
ユーザーガイドに載っている
薄い壁表現を参考に

やっていくわけですが…

そう簡単にはいきませんでした。
(うまくいくと思って読み切りのつもりで作り始めたのですが…)

続編、待ちきれない人は試してみてくださいね。

 

では!

つづく