Maya2017 Arnoldでマンションの内観レンダリングに挑戦する① シーン全体のライティング編

どうも!Maya太郎です。
今回から要望の多い Arnoldのレンダリング実践編(屋内)を数回にわたってやっていこうと思います。

いろいろ補足したいことはあるのですが
話が脱線してしまうので、今回もほとんど一本道で作業を進めます。
あくまでも基本的な使い方だと思ってお読みください…

Arnoldでの天空光(スカイライト系)表現は、V-RAYやmental rayと比べてすこしくせがありますが、
使用感としては使いやすいです。

作例は前回の記事でも使っているマンションの一室を使います。
質感は最後に設定することにしてシンプルなグレーの状態で光の当たり方を
確認しやすくしておきます、
窓はガラスの質感を設定するまでは非表示にしておきます。
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まず最初に、太陽光としてのディレクショナルライトを置きます。
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室内からの視点でレンダリングしました。
直接光が当たっていない床の部分がが黒く、天井は明るくなっています。1-3

レンダー設定から
Ray DepthのDiffuseの数値を2にしましょう。(デフォルト状態は1)1-4

部屋全体に光が行き届いた感じになりました。
床の黒すぎる部分にも明るさが戻りました。1-5

「Ray Depth」というのは、光がオブジェクトに当たった時の
跳ね返る回数(深度)の設定です。
デフォルトでは1になっていますが0にすると
光が入射した部分が明るくなるだけで、そこで光の計算は終わってしまいます。1-6

この状態でレンダリングすると下図のようになります。
MayaソフトウェアレンダーのようなGI非対応の、昔ながらのレンダラーは基本的にこの状態でレンダリングされます。
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Ray Depth=1(デフォルト設定)の場合は
オブジェクトに当たった光が一度だけ跳ね返るわけです。
ただ、オブジェクトの質感によって跳ね返り方は異なります。
(反射・拡散などの設定による)
原理的に跳ね返る光は元の光より減衰しますので
元の光が弱かったりするとほとんど効果はありません。
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Ray Depth=2(今回の設定)の場合は
オブジェクトに当たった光がさらに跳ね返るわけです。
これによって、あらゆる方向(壁・天井)に当たった光が
部屋の隅々に拡散し
その一部が床に届いて
床の暗かった部分を照らすことが出来たというわけです。
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このRay Depthは3以上に設定しても、減衰しきって効果がない場合が多いので
ほとんどの場合は2までの設定で十分のようです。

 

ディレクショナルライトを使う場合は、この設定も便利ですよ。
ディレクショナルライトのアトリビュートの「Angle」を2~3(お好みで)に設定しましょう。1-9

影がボケます。1-10

 

背景が真っ黒なので、背景に青空を適用します。
レンダー設定のEnvironment→Background→Create Physical Sky Shader1-11

背景にフィジカルスカイシェーダーが適用されます。
アトリビュートで、Enable Sunのチェックを外して無効にしてください。
(今回はディレクショナルライトを太陽光として制御するので機能がかぶってしまうため)1-12

背景に青空が映りました。しかし地平線より上のみです。1-13

注意点はフィジカルライトシェーダーはライトではないので、
そのままでは照明(V-Ray,mental rayでのスカイライト)としては機能していません
あくまでも背景画として機能しているだけです。
いま、シーンを照らしてるのはディレクショナルライトの光のみです。1-14

シーン全体を照らすライトは「スカイドームライト」を使います。
このブログでも何度も利用しているので、今更説明することはありません。
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スカイドームライトはビューポートにもシーンを覆う球状メッシュのライトオブジェクトとして表示されます。1-16

このスカイドームライトの「Color」に先ほどのフィジカルスカイシェーダーを接続すると
V-Ray,mental rayでのスカイライトと同様に、照明として青空が利用できるのです。
設定に手間がかかるので面倒です。
(Maya太郎としては将来のバージョンでワンアクションでこの機能が有効になるように期待しています。)1-17

スカイライト特有の青い光がシーンを照らしています。
この方法であれば、屋外シーンもきれいに再現できますよ!1-18

 

壁を照らす青さが、背景の青空と調和してそれっぽくなってきました!(意味不明な説明文です)1-19

次回は引き続きポータルライトの機能を紹介します。

 

では!