Arnold 新旧標準シェーダー対決!① (シーンの再現性とレンダリング時間)

どうも!Maya太郎です。

Arnold 5になってレンダリング速度の向上を体感的に感じているのですが
ふと思いました。

(何度も書きますが)今回のバージョンで標準シェーダーが
新しいシェーダーに変更されました。
過去データを読み込むと、とりあえず旧シェーダーで動作しますが
「シェーダーの新旧で速度の変化が起きるのか?」という疑問です。


過去データをそのままArnold 5でレンダリング

以前の作例を、そのままArnold5でレンダリングしました。
3分22秒、
過去バージョン(Arnold4.X)でのレンダリング時間は測定できませんが
おそらくこれよりも遅かったであろうと想像できます。

■捕捉■
レンダリング時間に関しては、皆様お使いのPC環境によって異なりますので
あくまでも速度向上の「相対値」として参考にして下さい。
ちなみにテスト環境は
HP Z620(Xeon E5-2630v2 2.6Ghz 6コア 12スレッド)です。
約二年半前のモデルです。
(インディゾーンさんからお借りしている原稿執筆用マシンです)

Maya太郎手持ちのマシンはi7 2600(3.4Ghz)というこれまた数世代前の古いマシンを使っております。
通常アプリを使うかぎり、このマシンでも不満は無いのですが
Maya、特にBifrostとArnoldでは限界を感じます。
クロック数が高い分、通常利用はこちらのほうが上記のマシンより軽快に動くような気がするのですが

Arnoldのレンダリングに関しては上記のマシンの1/3ほどのレンダリングスピードになります。
シーンにもよるのでしょうが、圧倒的な速度差を感じます。

Arnoldのレンダリングは単純なクロック数よりも
マルチコアスレッド数やメモリの規格などが影響するようです。
先日発表があったAMDの32コア/64スレッドのCPU「EPYC」なんてものを
レンダリングに使えたらどうなるんでしょうね…(ゴクリ)


すべての旧シェーダーを新シェーダーに変換する

シーン中で利用している「Ai_Standard」シェーダーをすべて
新シェーダー「Standard Surface」に変換します。

変換は旧シェーダーのアトリビュートエディタを開くと出てくる変換ボタンを押すだけ。


大幅な速度向上

するとレンダリング時間が「3分22秒→1分40秒」に大幅短縮。
レンダリング時間の向上は、シェーダーアルゴリズムの最適化によってもたらされたのでしょうか

 


しかし、質感の再現互換性はイマイチ???

シェーダー変換前後の画像を見比べると
同一シーンとは思えない雰囲気に気がつきます。

レースのカーテンのような薄い布に設定していた
過去シェーダでの「Backlighting」に該当する機能が
新シェーダーでは廃止されたようです。
薄いカーテンを透過する表現が無くなっています。

 


バックライティングは新機能で再現

ユーザーガイドによると
この表現は新しい機能で再現されています。
自動変換はされずに、手動でこの設定を行う必要があります。

設定箇所は2カ所に分かれています。
ちなみに「Thin Walled」はシャボン玉など物理的に薄いオブジェクトの表現に適した新機能です。
遠景として使う窓ガラスにも使えそうですし
薄い厚みをモデリングで行わなくても済むので便利です。(後日紹介します)

カーテンのバックライティングでレンダリング時間が増えるかと心配しましたが
3分22秒と比べるとまだ速いですね。


他にも質感の違いに気がつく

床に窓の光の映り込みがほとんどないことに気がつきました。
「レンダリングが速くなったと思ったら、細かな計算を省いてただけ…」
だとしたら喜びも吹っ飛んでしまいます。

ここは簡単に「Coat」の数値を上げます。
Coatは表面のコーティング(ニスや塗装表層の保護コーティング層など)の表現に
使うものですが
機能を比較した限り、過去のバージョンではRefrectionに相当していた部分です。

Coat(旧リフレクション?)によって床に窓の光が映り込みました。
レンダリング時間が若干増えましたが、3分22秒のオリジナル画像と比べると
ずいぶん速くなっています。

見比べると違いはいろいろとありますが
完全に以前のシェーダと同じシーンを再現するには時間がかかるので
この辺で作業は終わりにします…

 

単なる自動変換では
質感が以前よりも貧相になってる部分もありますし
レンダリング設定(サンプル数設定)の最適化など
調整するところは多々あると思います。

やはり別シーンを新規で設定する気分で挑まないと
細かな質感にこだわってるシーンでは思わぬところで互換性の壁にぶち当たり
大変なことになりそうです。

過去データの部分修正などする際には気をつけた方がいいですね。

しかし旧シェーダーはどの道廃止される運命なので
乗り換えは速めに行った方がいいでしょう

 

では!